
seesetができるまで
seeset対談
Director 伊藤 × Designer 児玉
seesetができるまで
メーカーとして88年続く「高荘」が、ブランドコンセプトを整え、ヨガをやる人が増えた現代の波に乗り「seeset」を立ち上げる。その背景には〝生活を大事にしよう〟〝丁寧な暮らし〟というコンセプトに注目したDirector 伊藤が、女性のカラダの変化に寄り添いながら、ヨガをするときだけでなく、行くときも帰るときも着られるような服作りをしたいと考案。それを受けてDesigner 児玉がデザインと生地にこだわりカタチに。そんな今、二人のseesetに対する想いを語ってもらいました。
対談vol.1
「辿り着いたのは、オトナの女性にマッチしてカラダがキレイに見えるデザイン、
そして街に馴染むヨガウエア」
伊藤:今までアパレルブランドで長く働いていたけれど、50代を迎えて自分の生活を見直したいと思い、これまでの世界観からちょっと身を外してみたんですよね。それはどういうことかというと、まず生活を大切にしようというところから始まったんですが……
結局ここ2年はコロナ禍で状況が変わり、思い描いていたものとはかけ離れていきました。でも、自分を含め、働くために生きていくのではなく、生活を豊かにするためのひとつに仕事をしている、そういうことを大事にしている女性を考えたときに、変化する女性のココロとカラダに寄り添う服が欲しいと思ったんです。
児玉: そうだね、そんな考えが最初にあって何回も話し合ってき、コロナ禍の中、それが少しずつ決定的なものになっていったと思う。
伊藤: そうでしたね、コロナ禍で先行きが不安な中、はじめは彼女のための「SHE」の綴りでブランド名を考えていて、彼女のためにセットされた服っていう意味だったんだけど、彼女より、「SEE」で未来を見通す、未来を向いて行こうというメッセージを込めたコンセプトにしようと変えました。
児玉: デザインに関していうと、10年前はレギンスを、それだけで履いている人は少なかった。けれど、最近はレギンス1枚の女性が確実に増えたと思う。広尾周辺をリサーチしていると、レギンス人口が増えたし、30代から40代、50代もレギンス1枚で犬の散歩とかしているのを見ると、これはちょっと世の中が変わってきていると感じたね。だから、そういうシーンに見合うものを作らないとだめだと思った。
我々世代だと何が必要?って。
児玉: だから、ボディラインに沿ったキレイさとか、パターンの持っていきかたとか……そこはとてもこだわっています。さりげなくやっているけど、これがあからさまになると不思議とダメなもんで……目指すところはエイジレスで、着てキレイに見えるモノ。
「素材、機能性にこだわりぬいて、1枚を長く愛用できるように作りました」
児玉: 「seeset」の一番の拘りポイントは、機能性とパターンだけど、素材は機能性の高い素材しか使っていないし、現状でいうとサスティナブル素材もさらに組み込んでいます。これからはその2つに集約させていきたいとも思うし、市場を考えると、年齢とともに、ライフスタイルに重きを置いていく人が増えるはずだから、それに寄り添える服を作りたいと思っています。スポーツなの?普段着なの?みたいなどちらかのテイストに偏らない、どちらにも転じられるものですね。
児玉: 今は都会っぽい人と都会から離れて生きる人、そういうライフスタイルのコロニーがいっぱいできて、どちらも着られるような「seeset」という枠ができて、ライフシーンにリアルに近いものを作っていきたい。服作りのために、めちゃくちゃ人を観察をしているけれど、年齢を重ねて余裕ができて自分を見つめ直すと、そこに初めてライフスタイルができてくると思う。若いときはファッションの延長だったものが、長いこと生きていると実体験が人生になる、そこに寄り添う服にしたいと思っています。
児玉: かなり前から、サスティナビリティに着目していて色々な取材も受ける中、SDGSって再生することばかりを考えているけれど、ひとつのものを長く使えることも、サスティナブルだと思います。継続可能なわけだから。綿のTシャツなら1年に1枚を着倒すことになるけれど、機能性なら持ちがいいので3,4年着られるはず。色持ちなんかは抜群にいいんですね、特に黒の色が持ちは別格。そしてカタチが持つので、一つの洋服を使う時間が長くなるってことが本当のサスティナブルだと思うんです。
頭を柔らかくして、フレキシブルに考えて、ひとつの洋服を長く着られるように作ることが大命題。真骨頂として伝えたい部分です。
伊藤: 動きやすくて、ライフスタイルに寄り添う、長く着ていられるってことだよね。もともとアパレルの服作りは早いサイクルの世界だったから、今は、それとは逆でひとつを長く着たいって思うよ。それも季節を意識しないで着られる服ね。今、日本の気候は温暖化でほとんどが暑いでしょ、秋なのに汗ばむ気候なんていうのは10年前は考えられない変化ですよね。だから3シーズン着られる服が理想ってところ。
児玉: 機能性素材って多くはポリエステルを中心のハイテク素材といわれるものなんだよね。それ自体が再生可能なもの。それに比べて綿はリサイクル率の低さがあるのは事実。ハイテク素材を使えば、1着を長く着ることができるし、気に入れば買ったもの以外も買いたくなる衝動が沸いてくる。着たいという信用が次の購買に繋がるわけ。だから、
新しい提案を続けていくこともやめてはいけないと思っています。廃棄せず、再生できるものをリサイクルしていけるものを出していく、それが循環していけばいいと思っています。
伊藤: 自分の生活に寄り添ってくれたらまたこのブランドを買おう、このブランドを着て自分が素敵だったら、ブランドのファンになってくれるから、生活に寄り添うブランドとして作っていきたいですよね。
児玉: 素材、パターン、スタイルカバーまでひとつひとつ、死ぬ思いで(笑)考えて作っているから、そういうふうに作った服が気持ちがいいって思ってもらえたらきっとまた買ってもらえるはず。理想はタンスにある服が次のユーザーの素材としてのサイクルとして再生に結び付いていること、それがブランドとしての責任だと思う。
Vol.2に続く